- 信用管理規程の整備
- 取引開始にあたり、信用調査の方法・取引先の与信限度額(信用限度額)を決定する条件・申請方法・決裁権限などを規定した「信用管理規程」が整備されているこどが必要です。目に見える手続きにしておくことで債権の回収遅延もしくは回収不能による損害を予防することに繋がります。未整備であれば、早急に規程の作成と周知の徹底を図るべきと考えます。
- 社員(営業社員と管理担当社員)の債権管理対応力の向上
- 営業社員は、取引開始による売上増強を図るという目標をもって営業しています。一方で取引にあたり、与信限度額や取引条件を決定し、それを契約書にまとめあげ取引相手方と締結する等の債権保全面ですべきこともしっかり進めなければなりません。これには、債権管理に関する法務や取引先を分析する財務の知識が必要です。管理担当社員についても、さまざな不良債権発生ケースに習熟し迅速な対応を取ることが要求されます。こうした関係社員の法務・財務対応力の向上は必要不可欠です。
- 不良債権発生リスク管理と捉える視点
- 債権管理に関する知識を増やすだけではなく、実際の業務にすばやく対応できるようなレベルにしておくことが必要です。債権管理をさらには不良債権発生リスクの管理と考え、日頃から想定される取引先の変化や異常な兆候を肌で感じることのできる訓練をしておくべきです。
不良債権の貸倒損失は、経営運営のネックになりかねません。債権管理を一歩進めたリスク管理という視点で、取引先の異常な兆候に対する対応策を事前に検討し確認しておき、いざという時に関係社員が迅速に対応できるようにすべきです。
以下取引の段階ごとにやっておくべきことの一例をお示しします。会社ごとに異なる対応することもありえますが、一般的にはこの流れのように対応していく必要があります。
- 取引開始前の信用調査
- ①商談時の訪問調査
・事務所の雰囲気、倉庫・工場の状況・経営文状況・経営者との面談等による調査
②外部情報の確認調査
・決算書(入手できれば3期分)や信用調査会社の信用調査書等にて財務分析チェック
3期連続赤字先、3期連続減収減益先、債務超過先、総金融機関借入月商比6か月超先、財務内容脆弱先の取引については慎重に検討する。
- 信用限度額等取引条件決定
- ①取引条件の決定
・回収条件等の個々の取引条件(所有権移転時期、納期、検収方法、担保保証条件等)
の交渉妥結
・必要に応じ、連帯保証人をとることや担保の差し入れなどの交渉も行う。
②信用管理規程に基づく信用限度等の稟議申請
・信用管理規程にも度づく信用限度額申請決裁、取引条件稟議決裁
③契約書の締結(契約書に盛り込むべき条項の交渉をしっかり行う)
・契約書に盛り込むべき条項
⇒所有権の移転時期、危険負担、瑕疵担保責任、相殺予約、契約解除、期限の利益喪失約款、反社会的勢力の排除、機密保持、損害金請求、合意管轄裁判書等
- 取引先の異常な兆候と日常管理
- ①商談訪問時チェック
・あぶない会社の見分け方(仮称)を作成・周知し、どんな状況があれば異常な兆候なのかはよく頭にすりこんでおく。
②日常取引のテェック
・異常な注文量の増加など
③定期的(信用限度の年1回時等)の財務内容のチェック
・異常な兆候はないか、財務悪化傾向にないかをを少なくとも年1回チェックする。
- 取引の異常な兆候が見られた時の対応策(要注意段階)
- ①支払遅延の発生
・支払遅延は倒産の前兆と考え安易な対応はしない。
・営業担当者は、遅延理由と対応策を記した「管理表」(仮称)を翌日に管理担当部署に提出する。
・支払交渉が不調に終わり支払遅延が計画通り解消されない場合は、債権保全策、取引中止まで見据えた検討を行う。法的措置を取る旨の強い態度で支払催促に臨む。
- 売掛金が焦げ付きさらに倒産に瀕した時の対応策(警戒・危険段階)
- ①取引継続か取引中止の迅速な決定
・この段階では、弁護士と相談し対応を協議する。
・支払猶予や手形ジャンプの申し出た場合には、回収が確実な場合のみ応じる。売掛金の手形化、資金化(準消費貸借契約への変更)、公正証書化、担保差し入れ、相殺、債権譲渡による回収、自社商品の引き上げ、他社商品の引き上げなのあらゆる対策を検討する。
- 取引先信用保証制度の採用検討
- 取引開始にあたり、先方の代表を連帯保証人となってもらうのは可能でも、担保となると余力のない企業がほとんどです。信用限度額が膨らんできた取引先について、倒産等による売掛金の回収不能は経営上の大きな懸念材料となります。
販売先の倒産等により、売上債権が回収不能になるリスクを回避するため、1社毎に与信調査のうえ保証限度額を設定し、その範囲内で保証してくれるというサービスがありますので検討してみることをお勧めします。(銀行関連ファクタリング会社や実績のある大手信用保証会社が実施強いるサービスですので安心ですが、費用がかかります)。
- 債権管理に必要な業務知識の習得向けた研修
- 不良債権の発生リスクの未然防止やリスクの最小限化するには、営業社員、管理職が迅速対応できるかにかかってきます。法務や財務の知識の拡充が必要です。そして、実際の異常時の対応が迅速に行わるためには、個別のケースで事前にシミュレーションしておくべきです。
このような研修なども準備していますのでお声かけください。